ご遺体の検案のお話し

のぼりとの杜コラム

命の生涯がいつまでかは誰も知る由もありません。その命の閉じ方や場所もそれぞれ違ってきます。

法律では死を確定してするのは医師のみです。
その判定は
①呼吸停止 ②瞳孔散大・対光反射消失 ③心拍停止
この3つを持って死と判定しています。
それに基づき発行されるものが死亡診断書です。戸籍法では死と同時に死亡診断書の発行が義務付けられています。そして死亡診断書を発行できるのは死を判定した医師のみです。死亡診断書には死因や病歴が記載されます。
ここまでは通常の病死や主治医がいる中でしっかりと死因が特定できる死の判定です。一般的なお亡くなりの場合の行程になります。

ここからが今回の本題です。
それ以外の死。すなわち死因の特定がすぐにできない死については死亡診断書の発行ができません。
例として
・お風呂で突然倒れて息を引き取った
・朝、起きてこなくて起こしに行ったら息を引き取っていた
・自死や他死
・事件・事故死
・病歴とは違う状況での死
・全く原因が不明の死
などがあげられます。
このような死の場合は検視といって警察が間に入ります。事件性はないか?病歴は?などを調査していきます。そして監察医や警察の嘱託医に死の判定(死の原因を突き止める)を委ねます。この監察医による死因の追究を検案または検死といいます。
検案対象となるご遺体は実は首都圏で20%弱ほどもあります。検案では外見的判断の要素なので死因が特定されにくい場合も多くあります。
死因が特定されないと次に待つのが解剖です。これを行政解剖(犯罪死要素の時は司法解剖という)といいます。解剖をして死因を追究・確定します。
死因が確定しなければ死亡診断書(検案になると死亡検案書と呼称が変わる)の発行もできず、火葬の許可申請もできないのです。
このような経緯を辿り死亡診断がされ、ようやく警察の手から葬儀社へバトンが渡されるのです。

葬儀社はあくまでも第三者の扱いであり、医療従事者でもありません。死の確定がなされないと故人様の取り扱い(原則と付け加えておきます)はできません。死の判定(死亡診断がされた)がされていないお体に保全処置(ドライアイス等)も施せません。
検視~検案~解剖の流れになると、故人様がご家族の下へお帰りになるまで数日間は待つことになります。

警察、監察医、そして我々葬儀社と故人様の命と魂の尊厳を大切にしてバトンを繋いでおります。死亡診断がされ、ご家族の下にきちんとお返しすることが使命であると思っております。
どのような終焉になるのかは本当に人それぞれであり神のみぞ知るところになります。
今回は法律上に基づく中での死の判定について書いてきました。
病院や施設で医師による死の判定がなされないときのことを少しでもお伝えしたく書き記しました。身近では起こりえない稀なことだからこそ「知って得する保険」と思ってお読みいただけたらありがたいです。
過去参照コラム:PPK(ぴんぴんころり)は迷惑倍増!?

検案や解剖は実は自治体単位でやり方が異なります。ある県では全国でも屈指の解剖率でもあったり費用が実費だったりetc
こんなお話しも機会を見つけてしていけたらと思っております。